実際にサービスのアイデアを考えるときに参考となるサービスの型があると取り組みやすいと思うので、ここに整理しておきます。
『起業の科学』の田所氏の提唱する10つのビジネスのフレームワークをベースに、僕の解釈やみんながわかりやすいような事例も含めて紹介しておきます。
10つの型は次のとおりです。
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中間プロセスの排除
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アンバンドル
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キュレーション
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休眠資産の活用
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意外性のある機能
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新しいコンビネーション
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タイムマシン
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アービトラージ
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ローエンド化
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As-a-Service 化
詳しく解説していきます!
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▼ 中間プロセスの排除
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まさに、『未来に先回りする思考法』でいうところの溶けていく時代にぴったりの型のひとつだと思います。
Uber はタクシー会社を排除し、Amazon は卸売業者を排除しました。これからは近代的な「銀行」などのシステムさえ、排除される時代になってくると思います。
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▼ アンバンドル
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バンドルとはあらゆる機能がひとつのサービスに束ねられすぎている状態であり、アンバンドルとはそれを解くものです。
たとえばフィンテック系のスタートアップは金融機関がこれまでごちゃごちゃとひとまとめでやってきたサービスのうち、ひとつを抽出して、それに特化したサービスを圧倒的なUXで提供することで市場を奪っています。
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▼ キュレーション
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キュレーションとは、散らばった情報や機能を1つの場所に集約することです。
様々な飲食店の情報をまとめた食べログ、さまざまな小売店の売価をまとめた価格コムなどが有名どころとして挙げられます。
他にも、たとえば最近はオンラインサロンが増えてきたのでオンラインサロンのキュレーションサイトとして「みんなのオンラインサロン」などもありますよね。
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▼ 休眠資産の活用
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使われていない資産を活用して売上を発生させることです。
Airbnbは使ってなかった部屋をお金に換え、クラウドソーシングや UberEats は細切れな空き時間をお金に換えることを可能にしました。
ちなみに、今ぼくはコワーキングスペースでこのまとめ記事を書いているのですが、たとえば結婚式場の待機スペースを平日はコワーキングスペースとして開放している例などもあります。
また、JK社長と呼ばれていた椎木里佳氏は自身がJKであるという強みを最大限活かし、周りのJKのリソースを活用し「JKのコンサルティング」という新しい価値を生み出しました。JKをターゲットとしているファッション業界、イベント業界はJKのリアルの声を聞くために、彼女の会社を入り口にマーケティング・リサーチを行うことができるというわけです。
他には、タイムバンクやVALUはタイミングが早すぎたのかサービスをクローズしていますが、これらは人の成長を会社の成長と捉えたときの「期待値」を金融市場に取り入れました。
その人が将来ビッグな人物に成長したとして、従来までは成長した人自身が得をするだけでしたが、先のようなサービスでは「早くから目をつけて、成長を応援した人も得する」という、これまで存在しなかった「人の成長」に価値を見出したサービスであると捉えられます。
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▼ 意外性のある機能
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既存の枠から外れることで今までにない価値提案をすることです。
たとえば受け取ったメッセージがすぐに消去される機能がある Snapchat は、他のメッセージサービスの中でも異質なメッセージサービスでした。
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▼ 新しいコンビネーション
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全く異なる領域で活用されていたサービスを組み合わせることです。
たとえば元々は雑誌や新聞の定期購読を意味する言葉であるサブスクリプションを、さまざまな領域で掛け合わせて面白いサービスが生まれています。
その他では、先述の VALU は金融市場における売買トレードの文化をクラウドファンディングという人の支援と掛け合わせたサービスであるといえそうです。
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▼ タイムマシン
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ソフトバンク創業者の孫正義氏が「タイムマシン経営」という言葉を生み出し、有名になりました。
これは、海外で成功したビジネスモデルやWebサービスをいち早く日本で展開するということです。
たとえば、インドネシアのライドシェアサービス大手のゴジェックはUberのバイク版ともいえるビジネスモデルを取り入れたのですが、今ではユニコーン企業となっています。
その他ラファエルなどの有名なYouTuberも「海外の伸びている動画をいち早く日本で取り入れた」と言っており、このタイムマシンをうまく実践しているように見えます。
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▼ アービトラージ
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供給不足の市場に、供給過多の市場からリソースを持ってくるアイデアのことです。
わかりやすくいうと、都内の水を鳥取砂丘のど真ん中で売るみたいなことです。
アビトラの例でいうと、せどりなんかはまさにこの価格差を狙って売上をあげる手法ではあります。
先のJKコンサルも、JKがたくさんいるような学校から、JKがいない会社に持っていくという意味ではアビトラの例のようにも見えます。
また、労働力のアービトラージなどもあります。
アジアの新興国で安く労働力を買って、付加価値を生成し、それをより可処分所得の高い日本人に販売するというのは現在でも多くの分野で採用されています。ただし、今後グローバル化の成熟により、この国家間のアビトラの旨味は徐々に失われていくという声もあります。
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▼ ローエンド化
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あえて機能を制限し安価なサービス・プロダクトを提供することです。
既存の製品の向上があがりすぎて手に入れることができない顧客をターゲットとするものです。
たとえばティファールなどはこのいい例です。高級電気ポットがどんどん機能が充実していきましたが、ティファールはまさに顧客の「こういうのでいいんだよ」に最適化したプロダクトとして支持されました。
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▼ As-a-Service 化
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製品を売って終わりだとか、単発で役務を提供して終わりではなく、継続的なサービス提供をサブスクリプションのような形で提供する型のことです。
従来まではシステム開発などは納品して終わりのビジネスモデルが多かったのですが、10年前くらいからソニックガーデンなどを主として「納品しない受託開発」が勃興してきました。
これは、サービス開発の不確実性に着目し、端から期日通りに当初の予定通りの要件定義で納品を行うことは不可能であるという前提に経ち、月額サービスとして日々修正を加えながら柔軟な開発手法を取り入れていくビジネスモデルに移行しています。
その他 MUP カレッジのようなスクールで、学習期間を定めず、コミュニティ機能を統合させることで長期間顧客に役務を提供することで収益を最大化させているビジネスモデルは多くあり、人口が減少していく日本市場で戦うのであれば一人あたりの継続的な支払金額を最大化させていく戦略は賢いと思います。
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