FACTFULLNESSとは?
世界200万部売れており、マイクロソフト創業者であるビルゲイツ氏と元アメリカ合衆国大統領オバマ氏が絶賛!
2018年にアメリカ、2019年に日本で販売されています。
著者は医者で教育者のハンス・ロスリング(国境なき医師団に所属し、TEDにも登壇している)
2016年に末期の膵臓癌で余命宣告受け、その後、本が出来上がる1年間は全ての執筆に捧げる。
そのためその間に依頼された講演会やパーティなどのイベントを全て断っていた。
著者が本書を通して伝えたいこと
無駄な恐怖と焦りで毎日疲弊してるでしょ。大丈夫落ち着いて。ちゃんと世界は良くなっているから。
多くの人間が現在世界の現状について誤った認識をしている
特に経済、環境、医療についての誤った認識に警笛を鳴らした内容になっています。
例1:チンパンジーよりも専門家の方が事実を誤認する。
これはある質問に対して3択の選択肢を用意する。チンパンジーには内容が理解できないため、ランダムに答えることになり、正解率は33%となる。専門家に同じ質問をするとなんと正解率は5%となった。これは事実に対する偏見が間違った回答をさせていることを表していると著者は言っています。
例2:地震の被災地に対する援助
例えば日本の被災地支援のために学校で生徒たちに「千羽鶴」を折らせたり、家で余っている「Tシャツ」をまとめて被災地に送ったとする。ただ本当に被災地で必要なのは送られてきた「それら」ではなく、飲み物や仮設住宅あったり、トイレであった。被災地支援のために送ったのに結果的には処理に困るというようなディスコミュニケーションが発生する。
誰が悪いという訳ではなく、有識者や専門家でも間違えるコミュニケーションであると著者は言っています。
例3:芸能界の縦割りルール
歌手、俳優、モデル、アイドル、お笑い芸人など芸能界では一括りできるが、お互いのルールがわかっていない。例えば俳優や女優の中で通用するルールがお笑い芸人には理解できなかったり、逆もまた然りであるということです。一歩ジャンルが違うだけで文化や風習が大きく異なる可能性があるということです。
裕福な世界と貧困な世界で分断されているという嘘(先進国と途上国)
今、日本人が考える世界の情勢は
しかしは2017年時点でその考え方は間違っているし、もう古いと著者は言っています。
世界は2017年時点では「4分割の段階」であると説明されています。
以下は人口、移動手段、調理方法の3点でレベルを段階分けしています。
レベル4 高所得国:10億人、自動車、キッチン調理
レベル3 中所得国:20億人、バイク、ガスコンロ調理
レベル2 中所得国:30億人、自転車、ガスボンベ調理
レベル1 低所得国:10億人、徒歩、炭火調理
総数は70億人(世界人口)です。
この関係は容易に追い抜いたり、追い抜かれしている。
そして世界の大半は中流階級となる。2018年時点で低所得国は9%、中所得国75%となっています。
下記のグラフを見てもらうとほとんどがレベル2以上のになっています。
赤=アジア、オーストラリア(日本はここ)、青=アフリカ、緑=北南米、黄=ヨーロッパ、ロシア
↑グラフA
以下の1950年時点の認識が特に日本人の脳内に刷り込まれていることでしょう。
↑グラフB
世界の情勢は悪くなっているという嘘
人間の本能である「ネガティブ本能」が「世界情勢の悪さ」を強くイメージに残しています。
理由は「自己を守る本能」が石器時代から強く残っているためです。
そのためグッドニュースはそもそもニュースになりにくく、バッドニュースの方が注目を集めやすいです。
テレビを見てもらえれば、大体バットニュースばかりです。
「〇〇社でパワハラ、25歳男性が自殺」「〇〇市で殺人事件、犯人はまだ捕まらず」などです。
先述のグラフAの説明にもなりますが
1800年の時にはレベル1の国は全体の85%だった。
1850年の時にはレベル1は50%
2017年の時にはレベル1は9%まで下がった。
また以下も正しい情報として著者は発言しています。
核兵器も世界的には減少傾向にある。
エイズも世界的には減少傾向である。
死刑制度も世界的には減少傾向にある。
奴隷や強制労働の合法国はほとんどない。
世界の平均寿命は70歳である(レベル1から4までの全て)
大気汚染やオゾン層の破壊もかなり減少されている。
飛行機事故はほとんどない。
実は数十年前までは飛行機事故はめちゃめちゃ多かったのですが、世界的に飛行機事故の共有される条約が結ばれたためです。本来飛行機事故は航空会社にとっては隠蔽したい内容ですが、その隠蔽が「人類への未来に対してあまりにも不利益」だったため、国同士で事故理由を究明し、対策を行ったため、飛行機の移動が2018年時点でものすごいスピードで安全になったのです。
世界人口は増え続けるのは嘘
人口増加と経済情勢は深い相関関係があります。経済レベルが上がると医療の向上による死亡率の低下、避妊具の普及により、1-2人ぐらいまでは出生率が下がるという研究データが出ています。
ちなみに発展途上国では「たくさん産むけどたくさん死ぬ」という構造のため、大家族が多いイメージができます。
最終的には世界人口は100億人から200億人で安定するとのことです。以下のグラフCを見るとそのまま人口が増えていきそうなイメージですが、人間には直線本能=グラフに対して同じ勢いで進むというバイアスがあるため、そう思いがちですが、いづれ人口増加は止まります。
↑グラフ3
世界の戦争は増えているという嘘
レベル4での戦争はほぼ皆無です。レベル1の一部の地域で起きているだけですが、いつも世界のどこかで戦争が起きているイメージは日本人は持っています(シリアなど)
大事なことは
ということが大切なのです。
世界の女性の教育レベルは男性比べて低いという嘘
2018年時点での30歳の男女の教育期間の違いは1年しかないのです。昔と比べると差はかなり縮まってきています。
例:2018世界では420万人/年の赤ちゃんが死んでいます。
この情報だけ聞くと、
「世界は一体何をやっているんだ!赤ちゃんを守れ!」
と憤慨する方もいらっしゃいますが、次の話を聞いてください。
1950年では1440万人/年の赤ちゃんが死んでいました。
この情報を聞いて、比較すると改善しています。
我々は特に「大きい数字」には注意が必要なのです。それには「比較」が有効だと著者は言っています。
生活レベルの違いは宗教と文化の違いという嘘
これは「所得レベルの違い」だけしかないと著者は言っています。
例えば、敬虔なキリストの宗教家だとしても、避妊具を配るのはその人個人を救うための大切なことです。
これからも世界の中心は欧米、欧州という嘘
アジアとアフリカ、インドが世界の中心に迫る勢いを持っています。
根拠として現在2019年時点でマイクロソフトやGoogleのトップはインド人です。
そして人口増加が経済成長には必要ですが数年、数十年後の世界人口比率は以下になるというデータがあります。
北南米:ヨーロッパ:アジア、オセアニア:アフリカ=1:1:5:2になる。
世界人口の7割以上をアジア、オセアニア、アフリカが占めるということはどちらを市場に扱った方が良いかは明確です。しかし、アジア、アフリカに先進国であるような基本的な商品が足りてないのに、アメリカ、ヨーロッパの企業は今でも商品をアメリカ、ヨーロッパ用で作っているため、世界情勢を理解していない国が多いです。
例:中国人の民度の低さ
バブル期の日本人も中国人並みの民度の低さであり、海外に旅行に行くたびに嫌われていたという事実もあります。民度の低さは国民性ではなく、貧困から脱却する過程でまだ国力が成熟していないときに発生する当たり前の事象です。
その国の教育がしっかりすれば民度の低さが改善するということです。
社会的進歩には民主主義が必要という嘘
2012年から2016年までに急拡大した国家10か国の内、9か国が非民主主義国家です。
なぜ民主主義ではその国自体に高度な経済がないと民主化しても失敗してしまうからです。
そのため時には「開発独裁」と呼ばれる1トップが剛腕を振るい、社会主義的に全員を導く必要があります。
二酸化炭素の排出量が多いのは中国、インドのせいという嘘
これも問題視される内容ですし、日本人も中国のPM2.5などの話題から中国が諸悪の根源なイメージです。
「今の地球温暖化の問題に対してインド、中国はどんなお考えか?
これはアメリカやヨーロッパが中国に対して言ったフレーズです。
なるほど、では地球温暖化が問題なるほど排出量を増やしていたのどこの国ですか?そして一人当たりの排出量の計算したらどうなるんでしょうか?
素晴らしい切り返しです。
今現時点での排出量は中国が多いが、かつてのヨーロッパやアメリカの排出量もとんでもない量でしたよね?経済発展には必要不可欠なのです。と言った反論
「国民が一人当たりの排出量で計算すれば当然アメリカヨーロッパの方が人口が少ないため、一人当たりの排出量は中国よりも多くなる」さあ本当の害悪はなんなのか?を問い詰め切り返した内容です。
社会問題には早急に大胆な対策が必要という嘘
ある村で感染症が出た。
→対岸の村の人が持ってきたという噂が広がった
→メインの橋を封鎖→食糧が止まり、餓死者が多発。
→また隔離されたと勘違いした人が水路から無理やり出ようとしたため、水死体が増え、更に疫病が増えた。
世界への不安の対処法
確かに世界は以下のリスクがあります。
感染症、金融危機、世界大戦、温暖化、極度の貧困
ただ人は常に以下の環境を整えることが大切です。
平和、学校教育、保険医療、電気、清潔な水、トイレ完備、避妊具の普及、小口の信用
そしてそれを保つためには謙虚さ(自分はまだ間違えていること)と好奇心(それに対して知ろうとすること)
が大切であると著者は言っています。そのため、著者は娘と「ギャップマインダー財団」(他人と自分の知識には乖離があり、それを是正する財団)を立ち上げて、本書を作ったとのことです。
そして娘の後書きも最後にあるのですが、熱い内容でした。
それは「父は世界を心配していたが、人類の素晴らしさを謳歌し、人生を楽しんで生きていた。」
youtubeの中田敦彦さんも「後書きにはものすごい人たちの名前が羅列されていた。この本はその人たちに対するラブレターだと感じた」とおっしゃっていました。そして本書は「啓蒙書でもビジネス書でもあり、科学書、哲学書、倫理書でもある。」
と仰っていました。
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